この音楽会は、
準備を進めるたびに、
少しずつ姿を変えています。
まるで、
ひとつの生き物のように。
最初に思い描いていた形から、
関わる人の想いや出来事によって、
静かに、でも確かに、
深まっていくのを感じています。
当初、患者家族の方が
一番伝えたいと話していたのは、
「命に係わる治療の提案することの重責。
だからこそ、いまのうちに
どんな治療があるのかを
知っておいてほしい」
ということでした。
でも最近、
その言葉の奥にあるものが、
少しずつ変わってきたように感じています。
それは、
お母さんの体の一部である癌細胞から
娘さんが受け取ったメッセージでした。
がんと闘う、ということではなく、
「休んで」という
体からのサインだったのではないか、ということ。
がんという
目に見える形になって、はじめて
立ち止まることに罪悪感を抱え、
本当の意味で休むことを
自分に許せていなかったことに
気づいたのだと思います。
……
この先のことは、
音楽会の前なので、
ここまでしか書けませんが、
本当は、
もっと深く、あたたかいものがあります。
来れない方のためにも
いつか皆さまに
お届けできたらと思いますが、
彼女の言葉には、
とても強い癒しの力があると感じました。
当たり前に、そこにいる人。
お母さんの命。
それがどれほど
愛おしいものだったのか。
今回の治療は、
入院ではなく、
自宅で、家族のそばで行われるものでした。
娘さんがお母さんの治療をしながら
ともに過ごした時間。
その中で交わされた会話。
その時間の中で、
これまで気づけなかった想いや、
体に本当に必要なものが、
少しずつひも解かれていったのでした。
この音楽会には今、
「お母さんの命」
というテーマが、
静かに流れているように感じています。
どこまでが準備で、
どこからが本番なのか。
その境目さえ、曖昧かもしれません。
私の準備中に起きていることと
いま、あなたに起こっていることも
たぶん、関係があることで
人と人が反応しあって、
それぞれの所で、それぞれのものを受け取る
今回の音楽会はみなさんに愛と思いやりがあるものになると確信しています。
なぜなら、自然の流れに抵抗していないから。
音楽会も生き物のように育っていく
本番という場で、
どれほどのものが、
立ち現れてくるのか。
いまはただ、
その時間が訪れるのを、
楽しみにしています。
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